スーパーマーケット・トレードショーで2020年のお酒のトレンドをチェック!

食品や飲料、調理器具やレジ周り商品など、スーパーで扱うすべてのものが集まった大規模な展示会「スーパーマーケット・トレードショー」。食品流通業界のトレンドがキャッチできる展示会で、2020年ブームが来そうなお酒を調査してきました。

ライター:nonnon
メインビジュアル:スーパーマーケット・トレードショーで2020年のお酒のトレンドをチェック!
スーパーマーケット・トレードショーは、スーパーマーケットを中心とする食品流通業界に最新情報を発信する年に一度の大規模な展示会です。一日では到底周りきれないほど膨大な数のブースの中から、今年注目すべきお酒について、ソムリエの資格を持つお酒のプロ・青田さんとともに調査しました。

青田俊一さん

WEBデザイナーとしてアパレルショップ、インテリアショップでの勤務を経たのち、お酒好きが高じて2009年にイズミックに入社。日本ソムリエ協会認定ソムリエ。ソムリエとしての豊富な専門的知識と鋭い嗅覚を生かして、現在はとっておきのお酒を扱うECサイト「On the Table」のバイヤーとしてモテ商品を発掘中。イエノミスタイルでは、「バイヤーズレポート」の執筆を担当。

青田俊一さん

世界的ブームの「ヴィーガン」が日本でもトレンド

青田  オリンピックイヤーということもあり、お酒や食品でも「ヴィーガン」商品がよく目立ちました。ヴィーガンとは「完全菜食主義」のことで、ベジタリアンよりも厳格です。肉や魚だけでなく、卵や乳製品、チーズ、バター類、はちみつ、ゼラチンなど動物由来のものが含まれている食材もNG。

酒類には含まれていないものが多いので、一見すると問題ないように思えますが、実はワインの製造過程では液体中に沈んだ澱(おり)を取るためにゼラチンを使うことがあるそうです。ヴィーガン○○と謳うためには、製造工程でも動物性のものを一切使っていないことが条件。基準をクリアしたものには「ヴィーガン認証」が与えられるので、ボトルの裏側などで確認できます。
裏側のヴィーガン表示
ヴィーガン認証を受けている商品にはこのマークが

今回試飲させてもらうのはこちらのイタリアのワインです。
ヴィーガンワイン

青田 ライトな飲み心地ながら香りとふくらみがあり、素直に美味しいと感じました。ヴィーガンの人が飲むものということは肉や魚などの食材と合わせることがないので、あえて軽い仕上がりにしているんでしょうね。

醸造技術は年々進化しているので、添加物を加えなくても、十分に味わい深いワインが造れるようになっています。赤白ともに種類も豊富ですし、値段も1000円台とお手頃なので、一度試してみる価値はあると思います。    

ヴィーガン系ではもうひとつ、ボトルタイプのワインカクテルも面白かったですね。天然香料のみを使用した香り豊かな微発泡タイプのお酒で、アルコール度数も5.5%と低め。200mlのボトルもあるので、ピクニックなどにも良さそうです。
オプラ ワインカクテル レモン&マンゴー
オプラ ワインカクテル レモン&マンゴー
オプラ ワインカクテル ストロベリー&ライム
オプラ ワインカクテル ストロベリー&ライム

キャンプブームが影響? 外飲みは注目ワード

外飲みの展示1
外飲みの展示2
青田 ヴィーガンと並ぶもうひとつのトレンドが「外飲み」でした。外飲みがテーマのコーナーは、カップ酒や缶詰おつまみがずらっと並んでおり盛り上がりを感じました。度数が低めのアルコール飲料を取り揃えたり、ボトルを瓶ではなく捨てやすいスチール缶にするなど、アウトドアで飲むシーンを意識して開発したものが多くありましたね。
ミニサイズスパークリングワイン
ミニサイズスパークリングワイン
女子ウケを狙ったミニサイズのスパークリングワインが各社から続々発売

こだわりが光る和テイストのビール

青田 発泡酒やクラフトビール市場は成熟してきて、メーカーも「どこまでこだわれるか」に注力しているようです。展示会でよく目に留まったのは和テイストのビール。オリンピックイヤーの影響なのか、「和」を強調したものは多くありましたが、その波がビールにも来ているのかもしれませんね。    

まずは、黄桜の「抹茶発泡酒」。濃い緑色でいかにも抹茶ですが、飲んでみるとビールの苦味や風味が先にきて、最後に抹茶の香りが鼻に抜ける感じ。カスケードホップ由来の柑橘系の香りと宇治抹茶の上品な香りが調和して、後味もさっぱり。和食との相性は間違いないと思います。個人的にはお寿司と合わせて楽しみたい味です。
黄桜の抹茶発泡酒
抹茶生産日本一の京都ならではの本格派
黄桜の抹茶発泡酒
インパクトのある濃い緑色

続いては、金沢のビール醸造所・オリエンタルブルーイングの「加賀棒茶スタウト」。名産の加賀棒茶を合わせたスタウトです。ほうじ茶の香ばしさがスタウトの苦味とよく合い、後味はほんのり甘い。これはクセになりそうです。ほうじ茶の香りがたっているのでビールが苦手という人にも飲みやすいのではないでしょうか。
ほうじ茶と「オリエンタルブルーイング」の「加賀棒茶スタウト」
ほうじ茶の香りと甘みを生かした味わい
「オリエンタルブルーイング」の「加賀棒茶スタウト」
色はスタウトビールそのもの

3つめは4月に発売になる軽井沢ビールの新商品「軽井沢ビール香りのクラフト」。国産柚子果汁を使ったフルーツビールです。柚子のさわやかな香りが広がり、苦味は抑えめで飲みやすいです。ビールと柑橘系の組み合わせは定番ですが、ここまでしっかりと柚子の風味が残るのはめずらしい。印象に残る味です。350ml缶で258円とクラフトビールとしては手ごろですし、一度は試してみてもいいと思います。
軽井沢ビールの新商品「軽井沢ビール香りのクラフト
軽井沢ビールらしいライトな飲み心地
軽井沢ビールの新商品「軽井沢ビール香りのクラフト

本格派から変わり種まで、最新ハイボール事情

青田 チューハイ系では今年も「レモンサワー」ブームが続きそうですが、次なる注目は果汁を贅沢に使った本格チューハイ。

まずは、3月に発売になる成城石井オリジナルのチューハイ。第一弾はレモンサワーとブラッドオレンジサワー。レモンサワーは果汁10%、ブラッドオレンジは果汁20%とかなり濃厚です。どちらもウォッカベースなので甘さ控えめ。レモンサワーはとてもドライで、酸味というより少し苦味があり、それが食事に合いそうです。ブラッドオレンジはフルーティーですが、後味はさっぱりで、こちらも食事と合いそう。

これだけ贅沢に果汁を使えるのは食品を取り扱っている成城石井ならでは。ジュースやお菓子などの材料として仕入れているものなので、コストが抑えられるんですね。先に発売されているオリジナルのハイボールも人気のようですし、成城石井のPBアルコールは今後も要チェックです。
PBアルコール飲料
PBアルコール飲料は今後も増える予定だとか
PBアルコール飲料展示
値段はやや高めだが納得のクオリティ

青田 続いては、アシードアスターの「こだわり果実チューハイ」です。沖縄シークヮーサー、福島ももなど地域を指定した果実を使用。濃縮還元ではなく、ストレート果汁を使用した果実感たっぷりの味わいが特徴です。4種類ともベースはウォッカ。ももはやや甘さがありますが、アルコールもしっかりと感じられます。

一番人気は沖縄シークヮーサーだそう。チューハイでは珍しく「完熟」シークヮーサーを使用しているそうで、一般的なシークヮーサーよりも甘みや香りが増しており、バランスよく飲みやすい印象です。大手メーカーでも果実感をウリにしたチューハイが人気なので、缶チューハイ市場の果汁へのこだわりは、さらに加速しそうですね。
アシードアスターのこだわり果実チューハイ各種
レモンはシチリア産、グレープフルーツはフロリダ産を使用

最後は中国のお酒、白酒(パイチュウ)を使った「チャイナハイボール」。中国では紹興酒よりもメジャーなお酒です。白酒はトウモロコシやキビなどの穀物を使った蒸留酒で、アルコール度数は50度以上と高め。独特の香りがあり、好き嫌いが分かれるところですが、ハイボールにするとグッと飲みやすくなります。甘い香りとドライな飲み口で中国酒初心者にもおすすめできます。
白酒(パイチュウ)を使ったチャイナハイボール
スッキリとして飲みやすいので中華料理だけでなく幅広い料理と合わせられそう

糖質オフに大豆ミート、おつまみ系は「ヘルシー」がテーマ

青田 食品系でもヴィーガンやオーガニック、糖質オフなど、健康を意識したものが多く展開されていました。特に多かったのが「大豆ミート」などの、代替肉の商品。言われなければ分からないほどの高レベルで驚きました。値段もこなれてきているので、こうしたヘルシー系をおつまみにすれば日々の晩酌の罪悪感も減りそうですよね。

まず気になったのは、大塚食品の「ゼロミート」シリーズ。味も食感もまるでお肉。燻製の香りもあって、お肉好きにも満足できる味だと思います。
大塚食品の「ゼロミート」
60gで298円(税抜)とお手頃
大塚食品の「ゼロミート」とクロワッサン
ハムのほか、ソーセージやハンバーグも

日本ハムの大豆ミート商品もチェックしておきましょう。3月から発売される「ナチュミート」シリーズは食肉メーカーが代替肉市場にいよいよ参入と話題です。

ソーセージは大豆ミートにこんにゃくを混ぜて、ソーセージらしい食感を再現するなど、これまで手掛けた加工食品のノウハウを生かして、より本物らしい味を追及しているのが分かります。
「ナチュミート」
ソーセージは4本入り217円(税抜)

青田 他におつまみ系でバリエーションが豊富だったのはナッツですね。糖質オフのものや小分けタイプ、レンジで温めて食べるタイプなど以前よりも広がりを見せており、需要が高まってきていることがうかがえます。
ロカボナッツ
ロカボ対応でさらにヘルシー 
レンジでホッとナッツ
レンジで温めるタイプはおつまみにぴったり

青田 そして今回とても面白いなと思ったのが植物性食材を使った「チーズ」。もち米を精米せずに玄米のまま使用し、チーズ独特の発酵の香りとうまみを出すため、酒粕を添加したとか。

チーズフォンデュ風にして食べると、かなりチーズに近い味わい。お米由来なので満足感もありつつ、脂肪分は控えめというのもうれしいところです。インバウンド対応を含めて、ヘルシー系の食品は面白そうなものがいろいろと出てきそうで目が離せません。
植物性食材を使った「チーズ」
乳製品不使用なのでヴィーガンの人にも対応
植物性食材を使った「チーズ」
家庭用にはスライスやシュレッドタイプも

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高アルコールからの揺り戻しからか、アルコール度の低めの商品も多く、健康志向の高まりを実感する展示会でした。家飲み派としてはレモンサワーをはじめとする缶チューハイ系の新商品はどれもクオリティが高かったので、今後も注目していきます!


※記事の情報は2020年2月20日時点のものです。
  
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