コナリミサト『宅飲み残念乙女ズ』の再現レシピ《肴は本を飛び出して㉘》
今回はあの人気作、コナリミサト先生の『宅飲み残念乙女ズ』から、お金をかけずにパパッと作れるアイデア力満点のおつまみ3品が登場! 家飲み大好きな筆者が、「小説やエッセイ、漫画に出てきた食べ物をおつまみにして、お酒を飲みたい!」という夢を叶える連載です。
仕事に恋にがんばりながら時に凹む、酒ラブ女子3人の楽しそうな“宅飲み”ストーリー
◾こんな本です
『宅飲み残念乙女ズ』(全2巻)は、『凪のお暇』『珈琲いかがでしょう』などのヒット作で知られるコナリミサト先生によるオムニバス式のショートコミック。『凪のお暇』よりも前に描かれたもので、アニメのキャラっぽいキュートな主人公たちがリズミカルに話を展開していくのにぐいぐいっと引き込まれます。
コナリミサト /芳文社『宅飲み残念乙女ズ①』より
コナリミサト /芳文社『宅飲み残念乙女ズ①』より
例えばこんな感じ。
・ブロッコリーの芯を薄く切ってオイスターソースと炒め、ラー油をかけると「ザーサイの味!」(1巻)
・ライスペーパーを細く刻んで麺にした即席フォー(1巻)
・バイト先のコンビニでバレンタイン後に安くなったチョコを溶かして作るチョコサラミ(1巻)
・ゆでたてのもやしに砕いたポテチをふりかけるサラダ(1巻)
・節分の豆を甘辛いタレで煮詰めた即席炒り豆(2巻)
・忘年会続きで胃腸が疲れたふたりを気遣った具はしいたけだけのどんぶり茶碗蒸し(2巻)
『凪のお暇』に出てくる堅実&簡単レシピも話題になりましたが、この作品にはより色濃く作者コナリ先生のセンスが現れていると思います。実践的なDIY漫画も描いておられるし、工夫しながら作るのが本当にお好きなんだな〜と実感。
おつまみの手軽さや真似したさに加えて、悩み、愚痴りながらも決してドロドロとせず明るくポジティブな3人の姿もこの漫画の大きな魅力です。50歳手前の私は「そうそう、そんなこともあったよねぇ〜。娘さんたち、がんばってっ」的な感じですが、同年代の方ならさらに感情移入できて楽しさ倍増じゃないかしら。
そうそう、本編の合間にはさまれている「本編出演落ちした本当に残念なアテ」シリーズもとても面白いので、ぜひ原本でチェックしてみてくださいね。
◾ここを再現
1巻あたり20話と嬉しい盛り込み具合の本作。あれもこれもと目移りした中から、3品をピックアップしてみました。
◾お品書き
- ワカメのナムル
- 土鍋まるごとゆるっと湯豆腐
- 揚げないハムカツ
【宅飲み残念乙女ズ再現レシピ①】ワカメのナムル
コナリミサト /芳文社『宅飲み残念乙女ズ①』[8杯目]より
<材料> (ざっくり3人前)
・乾燥ワカメ…ふたつかみ
▼(A)
・オイスターソース…大さじ1.5
・醤油…大さじ1
・ごま油…大さじ1
・酢…大さじ1
・すりゴマ…大さじ1
<作り方>
① 乾燥ワカメはたっぷりの水で5分戻し、しっかりと水気を切る。
② ボウルに①を入れ、(A)の調味料をすべて入れて和える。
◾食べてみました
や〜、これはいい! めちゃ簡単でしかもお店っぽい本格的な味。
思うに、味の決め手はオイスターソース。普段自作するナムルはなーんかぼやけた味だなぁ(でもまぁ自分が食べるだけだしいいか)と思っていたのですが、これはビシッと決まりました。すりゴマ大好きなので、和えた上にさらにざばりとトッピングしたのもよかったです。
コクがありつつもお酢入りなのでしつこくなく、つるんとしたワカメとつぶつぶゴマの食感のコントラストもいい。髪の毛問題関係なくとも、常食したいくらい気に入りました! 本編ではゆみみも「ビールと合うね!!」と絶賛してましたよ〜。
【宅飲み残念乙女ズ再現レシピ②】土鍋まるごとゆるっと湯豆腐
コナリミサト /芳文社『宅飲み残念乙女ズ①』[12杯目]より
コナリミサト /芳文社『宅飲み残念乙女ズ①』[12杯目]より
<材料> (ざっくり3人分)
・豆乳(成分無調整)…500ml
・にがり…小さじ1
<作り方>
① 土鍋に豆乳を入れ、沸騰させないように中弱火で7分ほど温める。
② にがりを少しずつ入れながらスプーンなどでゆっくりかきまぜる。
③ もったりとしてきたら火を止め蓋をして10〜15分ほど放置すれば完成。
◾食べてみました
『凪のお暇』にも登場した土鍋まるごと湯豆腐。気になっていたんですよね。作り方もとても簡単だし、鼻歌まじりに挑戦してみました。みましたが…。
…あまりに悔しいので後日リベンジ! いろいろと調べてみたら、にがりの量が少なかったのかも? となり、自己判断で倍量ほどをくわえてみました。
なぜ固まってくれないのうちの豆腐は〜〜〜。鍋の問題なのか、混ぜ方なのか。今回は酒粕とだしを足して酒粕豆乳うどんに変身しました。身体は温まったけど心は寒い…。うう、成功のご報告ができなくてすみません。皆様はどうかうまくいきますように!
【追記】
原稿を納品した後もあきらめきれず、もう一度チャレンジしてみました!
土鍋を替えて、にがりの量はやや多め(豆乳1カップに対して20ml)、火にかける前ににがりを混ぜておくというやり方。失敗が怖くて少量しか作っていない時点でコナリ先生のレシピから遠ざかってますね。ごめんなさい。
頼む! 今度こそ!!
祈りながら鍋を火にかけ静かに混ぜて、ほろほろと固まって来たら火を止め蓋をして15分。
さて、どうなったでしょうか。
二度あることは三度あるーーー!
(ご唱和ください!)
二度あることは三度あるーーーーーっっっ!
なくていいのに三度あった。三回目の正直の方じゃなかった。
私の心はマイ豆腐のように砕け散りました……。「お腹に入れば同じ!」という亡き祖母の言葉を思い出しつつ、食べ切ろうと思います(少量にしといてよかった)。
【宅飲み残念乙女ズ再現レシピ③】揚げないハムカツ
コナリミサト /芳文社『宅飲み残念乙女ズ①』[17杯目]より
コナリミサト /芳文社『宅飲み残念乙女ズ①』[17杯目]より
・ハム…6枚
・マヨネーズ…適量
・パン粉…適量
<作り方>
① ハムを2枚重ね(厚めが好きなら3枚でも)、両面にマヨネーズを塗る。
② 両面にこすりつけるようにパン粉をまぶす(ラップとラップの間に挟んでまぶすと手が汚れません)
③ アルミホイルにのせてトースターで表面がカリッとするまで焼く。
◾食べてみました
おおお、これは成功成功大成功! 衣が若干まばらなことを除けば立派なハムカツに見えますよね? ね? 食べてみるとちゃんとカリッと香ばしくて、でも油っこすぎなくて最高でした。これもリピート確実です。
1つはコナリ先生のアドバイス通りに間にチーズをはさんでみましたが、これも間違いないやつ〜〜。「ソースでびしゃびしゃにして召し上がれ〜」とのてつ子のセリフに従って吉、です。ビールに合いまくりっっ!
***
ご覧いただいたように、てつ子レシピのおつまみはどれも無理なく作れるものばかり。今後またほかのレシピにも挑戦してみるつもりですが、きっとその度にただ再現するんじゃなくて、脳内でてつ子がアドバイスしてくれたり、ゆみみとグリっちが一緒に「おいしー!」と喜んでくれたりする様子を楽しむであろう自分が見えます。お3人さん、おばちゃんの宅飲みを彩ってくれてありがとうありがとう。これからもよろしくね!!
※記事の情報は2022年2月1日時点のものです。
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