川尻こだま『あたしゃ川尻こだまだよ』の再現レシピ《肴は本を飛び出して㉝》

Twitterで大バズり連発中!の川尻こだま先生の話題作『あたしゃ川尻こだまだよ』より、"ただれた生活初心者”にもマネしやすい3品を再現。川尻先生の食へのピュアな欲望を感じながら、やんちゃな家飲みを一緒にエンジョイしませんか? 家飲み大好きな筆者が「本に出てきた食べ物をおつまみにして、お酒を飲みたい!」という夢を叶える連載です。

ライター:泡☆盛子泡☆盛子
メインビジュアル:川尻こだま『あたしゃ川尻こだまだよ』の再現レシピ《肴は本を飛び出して㉝》

ハラハラと見守り、おいおいとツッコミたくなる“ただれた生活”が眩しい。

◾こんな本です

川尻こだま先生はTwitterのフォロワー数37万人(2022年6月現在)の漫画家。2020年からTwitterで公開しはじめた日常漫画がバズりまくり、Kindleでの無料電子書籍化からアニメ化までをあっという間に果たしたイケイケ(死語!?)の作家さんです。

本作『あたしゃ川尻こだまだよ』は電子書籍『川尻こだまのただれた生活』シリーズを再編・加筆したもので、オリジナルのコンテンツも収録されています。

川尻こだま /KADOKAWA『あたしゃ川尻こだまだよ』より
甲羅を背負い頭に皿を乗せたピンクヘアーのかわいい河童が川尻先生の“アバター”。

かわいいビジュアルに反して、常に締め切りに追われていると思しき在宅仕事中のリアルすぎる食生活は実にスーパーハードボイルド。
 

川尻こだま /KADOKAWA『あたしゃ川尻こだまだよ』より
胃袋、健やかすぎィィィ!
 

川尻こだま /KADOKAWA『あたしゃ川尻こだまだよ』より
欲望に忠実すぎる姿が愛おしい。
 

川尻こだま /KADOKAWA『あたしゃ川尻こだまだよ』より
高血圧の筆者からすると羨ましいくらいのやんちゃ食べ!

さらにさらにヤバいのがこれ。

川尻こだま /KADOKAWA『あたしゃ川尻こだまだよ』より
文字通りの「限界つまみ」。漢気ありすぎでしょ!

Twitterでは漫画の合間に川尻こだま語録ともいえる名文(迷文?)も仕込まれていて、読む者はサブリミナル効果的に脂っこくてしょっぱいものが食べたくなるのです。私も何度影響されてスーパーに走ったことか! 特に唐揚げとパック寿司! ヤバい!
「あたしゃ唐揚げが好きだよ
脂っこいからね」

「あたしゃシュウマイが好きだよ
ビールに合うからね」

「あたしゃ天ぷらそばが好きだよ
天ぷら入ってるからね」

全て 川尻こだま Twitter より
川尻先生のとってもいいところは、このように徹底して好きなものだけを描いていること。

一見はちゃめちゃに見えても安心して快く読み切れるのは、そこにネガティブな要素がなく、対象物へのピュアな欲望が楽しく描かれているからだと思うのです。

そして、実は普通に使えるライフハックだって載っているんですよ。

◎「カップラーメンの半熟玉子」
カップラーメンに玉子を入れるときは天地返しで玉子を底にすると、後半戦にしっかり半熟になって「ウメーんだコレが」。

◎「おいしい大福の食べ方」
普通の大福とイチゴを用意。大福にイチゴをのせてひと口パクリ。また新たなイチゴをのせてパクリ。「無限苺大福」の誕生である。


ね、真似したくなるでしょう?

しかし、糖質無制限で茶色メシからしょっぱいもの、甘いものまで、そして酒は浴びるほどにという食生活は、同じ家飲みラバーとしてもちょっと心配になりますよね。

そんな読者の声に応えて(?)、本編には「川尻こだま はじめての健康診断編 〜アウトだったら酒飲み即引退スペシャル〜」という描き下ろしが収録されています。これまた手に汗握る展開ですよ〜。

『あたしゃ川尻こだまだよ』ここを再現

今回は『あたしゃ川尻こだまだよ』1巻(2巻は8月発売予定だそう)から、比較的ただれていない3品をご紹介します。

麺2玉に豚バラと玉ねぎ炒めたのと目玉焼きまで乗っけたラーメンや、アジシオで追い塩した揚げ餅、ホイップクリーム直飲みなども魅力的ですが、一身上の都合というか素直に腰が引けたのでこちらの品々を再現させていただきました。よろしくどうぞ。

◾お品書き

  • サーモンの冷製パスタ
  • パンコントマテ
  • ブロッコリーのアヒージョ

【あたしゃ川尻こだまだよ再現レシピ①】サーモンの冷製パスタ

サーモンの冷製パスタ

「常に生サーモンを食べる口実を探している」という川尻先生がおすすめする、夏にぴったりなパスタです。
 

川尻こだま /KADOKAWA『あたしゃ川尻こだまだよ』より
<材料>
・パスタ乾麺(なるべく太めのもの)
・サーモンの刺身
・トマト
・バジルやルッコラ
・オリーブオイル
・塩
・胡椒

<作り方>
① 鍋に湯を沸かし、パスタを茹でる。
② 茹でている間に具材を適宜カットする。
③ パスタが茹で上がったら流水で締める。
④ パスタ、具材を器に盛り、オリーブオイルと塩・胡椒をかける。

◾食べてみました
ごくシンプルで野菜も摂れてしまう、いい意味で川尻先生らしからぬレシピ。オリーブオイルと塩は多めが美味しいです。

脂の乗ったサーモンとトマトの酸味、バジルの野趣がいい塩梅にマッチしました。

しかし記録的な暑さの今夏、水道水では麺がキンキンになりませんでした……。私は氷水を用意しておき、最後にその中で麺をギャンギャンに冷やす方法を採用。これ、おすすめです。

オイルが絡みまくったパスタをビールで流し込むのは最高〜〜〜!

【あたしゃ川尻こだまだよ再現レシピ②】パンコントマテ

パンコントマテ

テレビで見たとある美食家の「最後の晩餐に食べたいもの」を再現する川尻先生。をさらに再現してみました。
 


川尻こだま /KADOKAWA『あたしゃ川尻こだまだよ』より
<材料>
・バゲット(スライスする)
・完熟トマト
・ニンニク
・オリーブオイル
・塩

<作り方>
① バゲットはカリカリにトーストする。
② ①の表面にニンニク、トマトをこすりつけ、オリーブオイルと塩をかける。

◾食べてみました
「パンコントマテ」は、スペイン・カタルーニャ地方の郷土料理だそうです。漫画ではトマトだけをこすりつけていましたが、枠外のひとくちコラムで「正しくはニンニクもこすりつけるよ」と補足されていました。

これがまぁなんと、簡単なのにめちゃうまい! なんでかわからないけど手間をかけた味がする! そしてニンニク超大事。 

ビールはもちろん、ワインは赤・白・泡なんでも、サワーやハイボールにも合いそうです。

【あたしゃ川尻こだまだよ再現レシピ③】ブロッコリーのアヒージョ

ブロッコリーのアヒージョ

川尻先生の好きなアヒージョの具ベスト3を紹介する回より。意外なものが1位でちょっとびっくりしました。
 

川尻こだま /KADOKAWA『あたしゃ川尻こだまだよ』より
<材料>
・オリーブオイル
・ニンニク
・クレイジーソルトなどお好みのミックススパイス
・ブロッコリー
・その他好きな具(私は海老とヒラタケを使用)

<作り方>
① 鍋にオリーブオイルとニンニクを入れて弱火にかける。
② ニンニクの香りが立ってきたらミックススパイスで味をつけ、具を入れる。

◾食べてみました
家飲みでアヒージョを作ることは滅多にないのでちょっとコーフンしました。「他の具材のうま味が溶け出した油をココ(ブロッコリーの森部分)がめっちゃ吸ってる」とのことですので、旨みを出してくれる具をチョイス。海老は殻を剥いて下処理し、ぶつ切りにしたものです。

エビの香ばしさとキノコの濃厚な旨み、そしてニンニク香をたっぷりと蓄えたブロッコリー、確かにめちゃウマです! そして熱さも別格! ただれるーーっ!

口中を冷やすためのビールは多めに用意しておきましょう。
森の隅から隅まで油が染み渡っています
森の隅から隅まで油が染み渡っています。

***

やんちゃ成分は控えめですが、とても充実した家飲みとなりました。そしてお気づきでしょうか。今回の3品は材料に共通点があるということに。オリーブオイルは全品に、ニンニクはパンコントマテとアヒージョに、トマトはパスタとパンコントマテに使っています。材料の調達が楽で、それでいて全然違う印象の料理ができて大満足!

しかも最後に食べ余した料理をまとめてパスタにしたら予想外に美味しくて得した気分でした。
食べ余した料理をまとめてパスタに
この組み合わせで再現される方は、ぜひこの合体パスタもお試しいただきたいですー。

【あたしゃ川尻こだまだよ再現レシピ】おまけ

レシピに加え、川尻先生ならではのビールの飲み方も再現してみました。

川尻こだま /KADOKAWA『あたしゃ川尻こだまだよ』より
料理の背景に写っている缶が凹んでいるのはこのおかげだったのです。

想像している以上に「Go! Go! Go!」なイキオイで流れ込んでくるのでむせないようにご注意を。ちなみに私はめっちゃむせました。
 

川尻こだま /KADOKAWA『あたしゃ川尻こだまだよ』より
最後までやろうかやめようか迷ったやつ。

ビール(正確には第3のビールだけど)絶対こぼれるし、もったいないでしょ……。

でもここはやっとかなあきませんね! 

はい、やってみました。 最後のコマの効果音、そのまんま!

シュゴォーーーーー(一直線にノドを狙う黄金のスナイパー)
ヴッ(ノド、やられる)
ゴボッ(むせる)
ビタビタビタ(溢れる)

汚れるのが嫌なのでシンクの上で試してみたのですが、それでもビタビタになってもうた。川尻先生、よくこれをテーブルでやったな〜〜〜。

しかも15秒くらいで「ギブギブ!」となってしまい、慌ててプルトップを引いてスナイパーをおとなしくさせました。手強い相手であった……。

でもすんげーアホらしくて楽しかったので、確かに嫌なことも吹っ飛ぶかも! 覚えておいて損はないひと技、みなさまもぜひに〜!

※記事の情報は2022年7月5日時点のものです。
  • 1現在のページ