東京 インターナショナル バーショー 2023レポート! 4年ぶり開催に、開場前から長蛇の列

日本最大級の洋酒イベント「東京 インターナショナル バーショー」(以下、東京バーショー)が4年ぶりに開催されました。ウイスキー、ジン、ラム、リキュール、これらを使ったカクテルを存分に飲み比べられる夢のような2日間。初日の模様をお届けします。

メインビジュアル:東京 インターナショナル バーショー 2023レポート! 4年ぶり開催に、開場前から長蛇の列

待ち焦がれたよ、東京バーショー

5月13日(土)。11時の開場を目指して東京ドームのプリズムホールに向かいます。JR水道橋駅から歩いて数分、すでに開会を待つ人たちの列が長く伸びていました。

最後尾で待つこと30分。ようやくホールに入ると中は熱気が溢れていました。それはそうですよね、4年間待ったのですから。

主要な洋酒メーカーやインポーターがブースを出し、国内外のトップバーテンダーが目の前でつくるカクテルを無料(入場料だけ)で楽しめる、コスパが超高いこのイベントは、コロナ前から人気でした。
東京 インターナショナル バーショー 2023の開場前列最後尾
開場を待つ方々の列はどんどん伸びていった

東京バーショーにビッグネームが勢ぞろい

開場から11:30のオープニングセレモニースタートまでしばらく間があり、開会の発声まではお酒の提供はありません。その間に会場をぐるぐると歩いて、どんなブースがあるのか、ブースではどんなお酒が提供されるのか、ゲストバーテンダーはどんな方なのか等をチェックして回ります。メインステージでのセミナーやイベントが目的の方は、早々にステージ前に陣取っていました。

そして、いよいよ開幕です。ステージにバー業界や洋酒業界のレジェンドたちが次々に登壇します。発声はイギリスの著名なウイスキー評論家デーブ・ブルーム氏です。しばらく見ない間に髪と髭が少し白くなったようですが、元気いっぱいにオープニング、会場に「乾杯!(という感じの歓声)」が響き渡り、各々お目当てのブースに駆け寄っていきました。
東京 インターナショナル バーショー 2023のオープニングセレモニー
諸手を挙げているのがデーブさん。右隣はバーテンディングの世界チャンピオンの岸さん

今年は日本のウイスキー造り100周年

日本の洋酒業界にとって今年はメモリアルイヤーです。サントリーが山崎蒸溜所の建設に着手して100年の記念の年です。今では世界に冠たるジャパニーズ・ウイスキーですが、最初の一歩はわずか100年前なのです。サントリーのブースでは、「100年はプロローグ。」で始まるウイスキー造りへの変わらぬ熱い思いが壁いっぱいにつづられていました。
壁いっぱいにつづられたサントリーのウイスキー造りへの熱い思い
隅っこに入り込んでいる方がどなたかわかりますか?
「サントリージン翠SUI」のソーダ割を提供
サントリーの今の一押しはジン。「サントリージン翠SUI」のソーダ割を提供
「ジャパニーズクラフトジン ROKU〈六〉」
もちろん「ジャパニーズクラフトジン ROKU〈六〉」も。アルコール度数が47%と高いこの商品は冷水で割るとほのかに濁る。溶けきれなくなった香気成分が固化するためだろう

ニッカは世界のBEST BAR50ランクインのバーとコラボで攻める

ニッカのブースは創業者である竹鶴正孝をリスペクトする設え。20年くらい前に余市の蒸留所を訪ね、マイウイスキー造り実習に参加した時のことを思い出しました。麦汁をとった後のマッシュタン(麦芽糖化槽)に潜り込んで掃除しましたっけ。あの頃は好きな原酒を試し放題で、ウイスキーが見向きもされない厳しい時代でしたが、今思うとウイスキーファンにはパラダイスでした。

今回目を引いたのは、本体のブース並みに大きなスペースを取っていた「ドリンク・コング」とコラボしたカウンターバーです。「ドリンク・コング」はローマにある気鋭のバーで世界のBEST BAR50にランクインしています。既成概念にとらわれず、感覚的に捉えた味わいを提案すると評判です。
世界のBEST BAR50にランクインした「ドリンク・コング」とコラボしたニッカのブース
ニッカブースにはクエルボやボルスなどアサヒビールグループが扱う洋酒が勢ぞろい
ニッカとドリンク・コングのコラボカウンター
ドリンク・コングとのコラボカウンター。来日した同店のバーテンダーを日本人スタッフがサポートしていました
カクテルの味わいを視覚的に表現したメニュー
カクテルの味わいを視覚的に表現したメニュー

トップに触れられる東京バーショー

開会から2時間ほど経過したでしょうか。メインステージではスペシャルゲストとして招聘されたアダル・マスケス氏のデモンストレーションが始まっていました。彼はバルセロナ「BOADAS」のヘッドバーテンダーを長年務め、バルセロナとマドリードでバーを経営するミクソロジスト。芸術的ミクソロジーの先駆者とも呼ばれています。

ステージの周りにはプロのバーテンダーと思しき方々が詰めかけ、彼の一挙一動を真剣に追いかけていました。ふつうの試飲会にとどまらず、こうした最高レベルの技術に触れられるのが東京バーショーの醍醐味です。
マスケス氏は彼の代名詞となった「スローイング」を披露
マスケス氏は彼の代名詞となった「スローイング」を披露
マスタークラス入り口
開会前に長蛇ができたのはマスタークラスの申し込みのためだったようだ。受講は有料だが次々にソールドアウトとなった

東京バーショーで未来のバーを体感

さまざまなプレゼンテーションのなかでひときわ異彩を放っていたのはバカルディグループのブースでした。未来のバーをイメージしたというブースは映像が激しく飛び交い、バーチャルな異空間に飛び込んだような感じです。カクテルを飲みながら、たしかに酒を飲む理由のひとつはこうした浮遊感、意図的にそちらに振っていくようになるのかもしれないと思いました。
バカルディのブース
バカルディのブースは未来のバー。部屋全体の聡明を落とし四方八方を映像が巡る演出
イタリアを代表するベルモット「マルティーニ」
「マルティーニ」はイタリアを代表するベルモット。ロングカクテル「アメリカーノ」でいただいた

東京バーショーには個性派も続々

東京バーショーにはまだ日本ではあまり馴染みのない酒や、尖ったコンセプトの酒との出会いもたくさんあります。たとえばイタリアのジン「エンジン」。オーガニックなボタニカルを使用したジンで、エンジンオイルのような缶に入っています。カウンターのタイガーマスクに惹かれてブースを覗くと、ノリノリでポーズをとって試飲をすすめられました。
イタリアのジン「エンジン」
某ネットショップの口コミでは、味はよいけれど、注ぎにくくて盛大にこぼすというコメントが多数。デザイン重視のイタリアらしい

一方こちらはブラジルのカシャッサを紹介するブースです。カシャッサはサトウキビのジュースを発酵させて蒸留するスピリッツです。一般的なラムがサトウキビから白糖を作るときにできる副産物(糖蜜)を使うのに対して、サトウキビの搾り汁をそのまま使います。最近は職人が単式蒸留でつくるアーティザン・カシャッサが注目され、ブラジル固有の木材の樽で熟成させたものが個性を競います。
カシャッサを日本に広めようと手弁当で紹介
カシャッサを日本に広めようと手弁当で紹介

「カンパリ」は世界ブランドですが、しっかりシェイクしたカンパリソーダを提供。氷を入れただけのカンパリソーダとはまったく口当たりが違いました。
カンパリとジンでつくる「ネグローニ」は欧米ではTOP3に入る人気のカクテル
カンパリとジンでつくる「ネグローニ」は欧米ではTOP3に入る人気のカクテル

和酒代表という感じでのブースを出展していたのは本格麦焼酎「いいちこ」の製造元である三和酒類です。同社は焼酎メーカーとしてもっともバーシーンの開拓に積極的に取り組んでいます。焼酎規格ではバーに受け入れてもらえないと、大麦を麹で糖化して蒸留するWAPIRITS「TUMUGI」を開発しました。多くの日本人バーテンダーがこの日本オリジナルのスピリッツで創作カクテルを開発し、世界的なカクテルコンペで入賞しています。
銀座の名店「BAR AVANTI」の岡崎ユウさん
「TUMUGI」ベースのカクテルを提供するのは銀座の名店「BAR AVANTI」の岡崎ユウさん

※記事の情報は2023年6月1日時点のものです。

  

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