和酒アンバサダー育成プログラム「JSSA」レポート①

日本酒や本格焼酎、泡盛の海外市場を開拓するために、世界各国のアンバサダーを育成する「Japan Sake & Shochu Academy(JSSA)」。今年で8回目を迎える本プログラムの様子をお届けします。

メインビジュアル:和酒アンバサダー育成プログラム「JSSA」レポート①

各国から集まった精鋭12名が参加

国税庁と日本酒造組合中央会が行っている、日本酒や本格焼酎、泡盛の海外市場を開拓するためのアンバサダー育成プログラム「Japan Sake & Shochu Academy(JSSA)」。毎年2月末に開催され、今年で8回目を迎える本プログラムですが、いま参加希望者が急増しています。

今回は定員12名のところ80人を超える応募があり、しかも応募者はソムリエやバーテンダー、インポーター、レストランやショップの経営者などのキャリアを持った方たちばかりです。応募者多数の場合には小論文による選考があり、この難関を潜り抜けた合格者は、中国、ベトナム、台湾、フィリピン、ブルガリア、フィンランド、イギリス、カナダ、ブラジル、オーストラリアなど出身国は多彩です。
世界中から集まった参加者たち
世界中から集まった参加者たち
カリキュラムには講義のほか、テイスティングや酒蔵、焼酎蒸留所の訪問などが含まれています。

講義では日本酒の歴史、味のタイプ、製法や原料の違いによる味わいの違いやフードペアリングの考え方。さらに、日本酒や本格焼酎のベースとなっている酵母や麹についてエキスパートが解説します。

本格焼酎と泡盛は原料ごとにタイプの異なるものを飲み比べ、飲み方で味わいがどのように変わるかを体験します。
朝から夕刻まで真剣にテイスティングをする
朝から夕刻まで真剣にテイスティングをする。トータルで100点以上の酒を試す

これが日本酒を深く知る試飲サンプルだ

日本酒のテイスティングには典型的な特徴を持つ酒が選ばれており、試飲サンプルリストを見るだけでお酒に詳しい方はうなるでしょう。少し長くなりますが、今回のテイスティングに使用されたお酒を写真でご紹介しましょう。
甘辛、濃淡、フレッシュと熟成を知る
甘辛、濃淡、フレッシュと熟成を知る
熟成による味の変化を知る
熟成による味の変化を知る。生酒は1年間冷蔵庫で保管したものと新酒と比較、マディラワインのような高温熟成と低温長期熟成の比較
2つの典型的な吟醸香を覚える
2つの典型的な吟醸香を覚える。リンゴ系とバナナ系の香り
酒をあえて劣化させてオフフレーバーを確認する
酒をあえて劣化させてオフフレーバーを確認する
同じ酒蔵が品種の異なる米で、ほぼ同じスペックで造った酒を比較
同じ酒蔵が品種の異なる米で、ほぼ同じスペックで造った酒を比較
酸味に特徴のある酒の比較
酸味に特徴のある酒の比較。ひとつは多酸性酵母によるもの、もうひとつは白麹を使ったもの
4つの異なる酒母の酒を飲み比べ。生酛、山廃、菩提酛(水酛)、速醸酛
4つの異なる酒母の酒を飲み比べ。生酛、山廃、菩提酛(水酛)、速醸酛
ガス感のある生酒とうす濁り
ガス感のある生酒とうす濁り
貴醸酒の生と熟成、樽酒を体験
貴醸酒の生と熟成、樽酒を体験
スパークリングSAKEは低アルコールのうすにごりタイプとハイアルコールのクリアタイプ
スパークリングSAKEは低アルコールのうすにごりタイプとハイアルコールのクリアタイプ

麹づくりから甘酒づくりを体験

セミナーは座学とテイスティングだけでなく、実際に米麹をつくり、甘酒にするワークショップを行いました。

初日に米を洗って蒸し、冷ましてから麹菌を振ります。使用する麹は日本酒に使う黄麹と泡盛や焼酎で使う黒麹の2つ。4班に分かれて黄麹の米麹を2班が作り、残り2班が黒麹を使います。

翌日は、米がくっついて塊になっているものを丁寧にほぐし、再度、布で包み保温します。こうすると3日目には米麹ができあがりました。

3日目の晩に甘酒を仕込みます。ポットに70℃のお湯を入れ、米麹を投入し、さらに炊いたご飯を加えて一晩おきます。4日目の昼には甘酒ができあがり、黄麹の甘酒はまろやかで甘いオーソドックスな味わい。黒麹の甘酒はごま豆腐のような灰色で、クエン酸で甘酸っぱくなります。 
米をよく洗って笊にあげ、再度、一定時間に漬けて水を含ませる
米をよく洗って笊にあげ、再度、一定時間に漬けて水を含ませる
3日目には米麹ができる
3日目には米麹ができる
湯の入ったポットに米麹を入れて一晩保温
湯の入ったポットに米麹を入れて一晩保温
黒麹と黄麹の甘酒の出来上がり
黒麹と黄麹の甘酒の出来上がり
今回は「Japan Sake & Shochu Academy(JSSA)」より座学やテイスティング、甘酒づくり体験をお届けしました。第2弾では、酒ペアリングコース&焼酎編をレポートします。

※記事の情報は2024年3月7日時点の情報です。

  

『さけ通信』は「元気に飲む! 愉快に遊ぶ酒マガジン」です。お酒が大好きなあなたに、酒のレパートリーを広げる遊び方、ホームパーティを盛りあげるひと工夫、出かけたくなる酒スポット、体にやさしいお酒との付き合い方などをお伝えしていきます。発行するのは酒文化研究所(1991年創業)。ハッピーなお酒のあり方を発信し続ける、独立の民間の酒専門の研究所です。

さけ通信ロゴ
  • 1現在のページ