仲曽良ハミ『しなのんちのいくる』の再現レシピ《肴は本を飛び出して55》
SNSで人気の昭和後期を描いた仲曽良ハミ先生のコミックエッセイ『しなのんちのいくる』より、エビフライやポテトサラダが並ぶ、兄妹愛にあふれる夕食を再現! 家飲み大好きな筆者が「本に出てきた食べ物をおつまみにして、お酒を飲みたい!」という夢を叶える連載です。
懐かしくてクスッとなって時々ほろりな漫画で昭和にワープ!
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『しなのんちのいくる』は、やんちゃでおバカだけど根は優しい小学生男子・いくると中学生の姉・しなのの日常を描いたコミックエッセイです。
舞台は昭和後期〜平成初期ごろのどこかの下町。いくるたちの遊び(駄菓子屋で買うビックリマンチョコやメンコ、ファミコンなど)や、中学生のしなのが友達とドキドキしながら喫茶店に行く話をはじめ、特に40代以上の年代にズキュンと刺さるノスタルジーてんこ盛りなストーリー。
コミックスは仲曽良ハミ先生が個人ブログやSNSで連載中の作品が書籍化されたもので、2024年5月には最新刊の4巻がリリース予定(楽しみ!)。最近は「アニメ化してほしいマンガランキング2024」で1位になりました。
いくるとしなのを中心にした家族や友人、町の人たちが遊んだり笑ったり、泣いたり怒ったりする“あのころの普通の暮らし”がとても眩しく感じられます。何かと心痛む出来事が多い昨今からすると、なんて平和な時代だったんだろう。戻れるものなら戻ってみたいなー。
そんな『しなのんちのいくる』の主な登場人物はこちら。
仲曽良ハミ KADOKAWA『しなのんちのいくる2』「登場人物紹介」より
いくるの親友はボウズ頭の元転校生・シュウ。転校初日、イキって「父さんは社長で俺の小遣いは毎月1万円!」(この内容もザ・昭和!)と見栄を張ったシュウと、その嘘を見抜いてしまったいくるは殴り合いの喧嘩になります。
仲曽良ハミ KADOKAWA『しなのんちのいくる』「転校生が来た日」より
仲曽良ハミ KADOKAWA『しなのんちのいくる』「転校生が来た日」より
そうそう、コンビニがない頃の駄菓子屋の存在って、子供にとってはとても大きいものでしたよね。いつでもなんでも好きなだけ買えなかったからこそ、ほしいものが買えた時の嬉しさは格別でした。
ほかにも、体調不良で休んだ日の給食メニューが気になったり、テレビ番組で流れる音楽をカセットテープで録音したりと、昭和世代が「あったあった!」と膝を打ちまくって割ってしまいそうなエピソードが満載です。
仲曽良ハミ KADOKAWA『しなのんちのいくる』「風邪で学校を休んだ日」より
仲曽良ハミ KADOKAWA『しなのんちのいくる』「しなのラジカセで録音する」より
『しなのんちのいくる』ここを再現
仲曽良ハミ KADOKAWA『しなのんちのいくる2』「ぼんじり」より
仲曽良ハミ KADOKAWA『しなのんちのいくる2』「お兄ちゃんの焼き鳥」より
仲曽良ハミ KADOKAWA『しなのんちのいくる2』「お兄ちゃんの焼き鳥」より
◾お品書き
- エビフライ
- ポテトサラダ
- 冷奴
- なめこの味噌汁
- 瓶ビール
『しなのんちのいくる』再現レシピ
エビフライもお惣菜にようかと思ったものの、さすがに一品くらいは作るべきと自作に挑戦。
さまざまなサイトを参考にしたのでレシピを記すことはできませんが、衣は前回の『キャベツ炒めに捧ぐ』再現レシピでご紹介した鳥羽シェフのバッター液を利用しましたので、よかったらご参考になさってください。
◾食べてみました
エビフライのご馳走感は昭和も今も変わりませんね。慣れない揚げ物をした疲れも一発で吹き飛びました。
みなこちゃんが用意したエビフライのように真っ直ぐキレイに揚げられなかったけど、揚げたてのアッツアツは抜群に美味しかったです。
瓶ビールをトクトクと注ぐのも楽しいな〜。
たしかに昭和の頃、父の晩酌といえば瓶ビールでした。空き瓶を近所のよろず屋に返したら20円だか30円だかが貰えたので、弟と競うように空瓶を確保していたものです。それにしても、あの頃はいたずらでペロリと舐めて「苦い!」と顔をしかめた液体が、今では日々のパートナーになっているのが感慨深い限り。
みなこちゃんのお兄ちゃんにとって、ビールは特別な日のご馳走のひとつだったのでしょうか。心配事が胸に重くのしかかっていても、この日はビールと大好物の料理尽くしでゴキゲンになって眠ったと信じたい。
兄妹を悲しませた一件はみなこちゃんの活躍で見事解決するのですが、解決の仕方とこの回の終わり方があたしゃどうにもたまらなくてですね、何度も何度も繰り返し読んでいても毎回「ううう、よかったよぅよかったよぅ」と胸を詰まらせてしまいます。なんならかなりの確率でまた泣く。
この二人のその後のお話もまた読みたいので、仲曽良先生、ぜひ続編をお願いします!
***
瓶ビールの思い出に始まり、あの頃のことをつらつらと思い出す晩酌タイムとなりました。日々記憶力の衰えを感じずにいられない五十路ゆえ、覚えているうちにどこかに書いておかねばという結論に至ったのは収穫でした。
あと、『しなのんちのいくる』を広げながら、家族や幼なじみたちと昔の思い出を語り合うのも楽しそう。1日でも若いうちにやっとかなきゃです。
※記事の情報は2024年5月7日時点のものです。
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