お花見に使える!ピクニックの達人に教わる「100均」活用術
いつものお花見を、もっとオシャレにしたい! ひと工夫でいつものお花見が楽しくなる「しつらえ」をピクニックの専門家に教わってきました。今年のお花見を、オシャレ和風にしつらえてみませんか。
教えてくれたのはこの人
太田浩史さん(建築家)
オシャレなお花見の秘訣を教えてくれたのは「東京ピクニッククラブ」を共同主宰する、建築家の太田浩史さんです。東京ピクニッククラブは2002年に、ロンドンのPic-Nic Club誕生200年を記念して発足した団体。世界各地でピクニックイベントを開催するなど、ピクニックの楽しみ方やピクニックのできる都市のあり方などを提案し続けています。
太田さんは、昨年は一流の工芸品とピクニックを融合させるイベントなども手がけられています。そんな太田さんですが、今回は編集部が特別にお願いして、100円ショップも最大限に活用してリーズナブルに実現する和風花見を提案してもらいました。買いそろえた花見用具一式を持って太田さんと一緒に来たのは東京都内の某公園。公園に着くなり、さっそく太田さんはテキパキと花見の準備をはじめます。
「100年ほど前に欧米でピクニックの道具『ピクニック・セット』が生まれて発展しますが、そのルーツは日本の『花見重』ではないかとも言われているんです。花見や、野山で食事を楽しむ『野弁当』の文化がある日本は、実はピクニックの先進国。いま欧米では、公園などでお酒を飲むことが厳しく規制されています。日本が戸外のお酒に寛容なのは、お花見文化があってこそだと思います。最近では、お花見が目的で海外から日本に来る観光客もたくさんいます。私たちも、日本古来のピクニック『お花見』の文化を楽しみながら継承していきたいものです。今回は、100円ショップも活用して、和風お花見のしつらえを揃えてみることにしました」(太田さん)
社交の要になる「敷物」だけは、いいものを選ぼう
「地面が濡れていたりするときのためにシートを敷きますが、この上にさらに布を敷くんです」(太田さん)
「敷物は大事です。いつものブルーシートを敷いてもいいけど、その上にさらに好みの布を敷くだけで雰囲気が一変します。この布だけは100円ショップで売っていないので、手芸洋品店で計り売りの布を買ってきました」(太田さん)
「待った! この布は、座る場所ではありません。ここは食べ物などを置くテーブルクロスなんですね」(太田さん)
え、布って座るところじゃないんですか?
「座ろうとすると2メートルくらいの広い幅の布が必要になる。でもそんな大きな布は売っていないので、ブルーシートが唯一の選択肢になっちゃうんですね。座りこまないと決めればカーテン生地や今回みたいな幅1.2メートルの綺麗な生地が選べます。それで、その周りにピクニック風に座るんです。こんなクッションなんかがいいんじゃないですか?」
お重は必需品。食品はすべて器に盛りつけよう
「お重が家になくても、こんな器が100円ショップにあるなら使わない手はないですね。おこわはお気に入りをデパ地下で買いました」(太田さん)
せっかくの美味しいデパ地下の惣菜も、プラスチックのパックのまま食べるのは味気なくなってしまいますが、重箱に入れるとたちまち品格が上がりますね。
「なかなかイイでしょう。で、このバランが意外と効いているんです。おこわの固まり同士がくっつかない」
お弁当のバランって、見た目が寂しいから入れてるだけかと思ってました。ちゃんと機能もあったんですね。それと、やっぱりご飯をたべたくなる。おこわはまさに花見にぴったりですね。
「ピクニックや花見は、ご飯が合うんですよね。以前、メキシコでピクニックイベントをやったときにも、『サトウのごはん』と『すし太郎』で一口サイズのちらし寿司を作って出したら、現地の皆さんに大ウケでした」
「この串とか楊枝がポイント。なるべくフィンガーフードとして食べられるようにするんです。アスパラも取りやすいよう固めに茹でてみました」(太田さん)
「この箱は、ほんとは食器じゃないんだと思いますが、こういうものだって活用できます」(太田さん)
酒のつまみだけじゃなく、お菓子や果物も用意しよう
「飲むとなると、食べ物はついつい酒に合うことだけを考えてしまいがちです。でも飲まない人もいることを考えて、甘いものも用意したいです。フルーツもいいですよね。東京ピクニッククラブで「15の心得」というのを考えたんですが、「ピクニックは三々五々集散すればいい」というルールを考えました。遅れて来る人は、時間帯を考えて、後半に食べたいもの、デザートやアイスクリームなんかを持参してくれます。場を読み合うみたいなゲーム感覚なところもありますね」(太田さん)
「お出かけした場所でピクニック用のお土産を買っておくと、最近こんなところに行ったんです、と話が弾みます。食べ物はコミュニケーションのきっかけ。ピクニックはサンドイッチというイメージがありますが、みながサンドウィッチを持ち寄っても、そこからはなかなか話題が拡がらない。話が弾む食べ物は何かなと考えると、食品選びも楽しくなってきます」(太田さん)
安くても素敵な酒器がある。紙コップは卒業しよう。
「一人ひとりのスペースがあると何かまとまりができますよね。大きな布がごちゃごちゃにならないし、最後に片づけやすいと思います」(太田さん)
「お花見は日本の社交の文化。家に自慢の道具があったり、得意のレシピを持っていたなら、それを中心に考えて、自分らしいお花見をするのが良いと思います。後はメリハリで、力を抜いて簡単に。100円ショップやデパ地下を上手く使って、少しでも楽しく、美しい時間が過ごせるよう工夫を重ねたいですね」(太田さん)
太田さん、ありがとうございました。いよいよ、地域によっては桜が開花スタート。丹精込めた手料理を素敵な器に盛りつけてもよし。気軽に100円ショップやデパ地下を活用するのもよし。皆さんも今年のお花見を、楽しく演出してみましょう!
*価格表示はすべて税込みです。
おしゃれ和風花見の心得七箇条
- いちばん大事なのは敷き物。こだわって選ぶこと。
- 敷物はテーブル。座り込まず、周りを囲んで語り合う。
- 食品は好みの器に盛りつけよう。お重は強力アイテム。
- 食べやすい、フィンガーフードにしてみよう。
- 紙コップは卒業。お猪口やグラスを揃えよう。
- お団子や珍しいお菓子を用意すれば、話が弾む。
- 「100均」は花見の強い味方。おおいに利用しよう。
※ 記事の情報は2018年3月20日現在のものです。
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