酒の師に教わったおつまみ「カニカマ昆布酒漬け」でカニ(カマ)ざんまいの家飲み

年々進化を遂げているカニカマですが、「昆布酒漬け」なるプロの技を施すと、さらに味わいがカニに近づき格段に美味しくなるのだそう。そこで今回は「昆布酒漬けカニカマ」を作って、お酒によく合うアレンジおつまみを5品ご紹介します!

ライター:泡☆盛子泡☆盛子
メインビジュアル:酒の師に教わったおつまみ「カニカマ昆布酒漬け」でカニ(カマ)ざんまいの家飲み
私が敬愛してやまない酒ライターのスズキナオさんとパリッコさんのユニット「酒の穴」は、あらゆる媒体で垂涎ものの記事を多数発信されています。おふたりのやることなすこと書くことがいち酒飲みである私の琴線に触れまくりなのですが、その中でも最近ぐいっと心を奪われたのがこちらの記事。

カニカマがカニに肉薄!「昆布酒漬け」大検証

「昆布酒漬け」なる板前さんの裏技を知ったおふたりが、本来の対象食材である白身魚以外にもあらゆるものを漬けてみたらどうなるかをゆるやかなトークとともに展開しておられます。

昆布酒漬けの作り方はこちら。
【白身魚の「昆布酒漬け」の作りかた】
1 . 日本酒と水を同量ずつ配合した液体に、水分量に対して3%の塩を加える。
2 . 塩が溶けたら昆布1枚と好みの白身魚を入れる。
3 . 40分〜1時間後に昆布と食材を取り出し、ラップをかけて2〜3時間、余裕があれば一晩寝かせる。
ーデイリーポータルZ「カニカマがカニに肉薄!『昆布酒漬け』大検証」より

お刺身、魚肉ソーセージ、豆腐、スルメなど全7種類を検証した中で、群を抜いて変化したのがカニカマだったのだそう。
 
ナオ:いやー。とにかくカニカマ、最高でした。
パリ:衝撃だった。前半の記憶が消えてしまった。食感と味覚、両方にめちゃくちゃ変化があって。
ナオ:「化けたねぇ彼は。昔はこの駅前でストリートミュージシャンやってたのに、今じゃスターさ」みたいな。

デイリーポータルZ「カニカマがカニに肉薄!『昆布酒漬け』大検証」より
庶民の味方・カニカマがスター級に! これは試してみるしかないですよね〜。

というわけで、4種類のカニカマを買ってきて昆布酒漬けにしてみました。
 
4種類のカニカマ
右手前から時計回りに
・スギヨ「大人のカニカマ ずわい蟹風」(カニ酢付き)
・ヤマサ蒲鉾「ワンダフルサラダ かに風味かまぼこ」
・カネテツ「ほぼカニ」(カニ酢付き)
・メーカー不明「大っきなカニかま」
 
4種類のカニカマ中身
ひとくちにカニカマといっても見た目も味も違うものですね〜。

昆布酒の準備はこんな感じ。
昆布酒の準備
<材料>
・日本酒と水…各180ml(合計360ml)
・塩…約10g(カニカマに塩気があるのでやや少なめにしました)
・昆布…適量

前出の作り方の白身魚をカニカマに変えて仕込みます。
タッパーに入れて冷蔵庫で1時間寝かせる
昆布とカニカマを引き上げてアイラップ(袋のラップ)に入れ空気を抜く
タッパーに入れて冷蔵庫で1時間寝かせた後、昆布とカニカマを引き上げてアイラップ(袋のラップ)に入れ空気を抜いてさらに冷蔵庫で一昼夜おきました。
※残った酒は捨てずにとっておきます。
翌日のカニカマ
翌日のカニカマたち。水分をすっかり吸収したようです。袋を開くと酒と昆布の香りがふわん。

まずはこの状態で、漬ける前と後の食べ比べをしてみます。
漬ける前と後のカニカマ
上、左が漬ける前です。ぱっと見では変化がわかりにくいですが、食べてみたら明らかに違いがありました。

右手前から時計回りに
◎ヤマサ蒲鉾「ワンダフルサラダ かに風味かまぼこ」
【前】おそらく昔からある一般的なカニカマの味。キュッと弾力のある歯ごたえ。
【後】しっとり、ふっくらとして、唇に当たった瞬間から食感が変わったことに気づきます。「工場で作られたっぽい味」が薄くなっていました。

◎カネテツ「ほぼカニ」(カニ酢付き)
【前】身質がきめ細かく、ほのかにカニの香りがあるようなないような絶妙な味わい。個人的にいつも買うのはこのカニカマです。
【後】舌ざわりがシルキーに。昆布の旨みが加わって磯っぽさがプラスされ「これ、カニでは?」と幻惑されます。

◎メーカー不明「大っきなカニかま」
【前】身が大きく、ふわふわっとエアリーな食感。カニの風味も感じます。
【後】はらりとほどける質感が本物のカニみたい。体積の分、酒や昆布のエキスがたっぷりと染み込むので味わいが濃くなったのがハッキリとわかります。
 
◎スギヨ「大人のカニカマ ずわい蟹風」
【前】すっきりとクセのない味で食べやすい。身は硬すぎず軟らかすぎず。
【後】カニっぽさはさほど感じないけれど、噛みしめると旨みがギュッとしみ出る感じ。

少しずつ違いはあれど、昆布酒漬けにすることによって確実に味わいがアップしました。特に大っきなカニかまは、酒の穴いわくの肉薄っぷりがすごかったです。

家にある材料でこれだけ味の底上げができるなんて最高! もうカニ貯金をしなくてもいいんだ……したことないけど……。

せっかくおいしいカニカマがたくさんあるので、カニざんまいのおつまみ祭りを開催してみました。こんなん、本物のカニでやろうと思ったらなんぼ用意せなあかんかわからんで〜〜〜。

昆布酒漬けのカニカマでおつまみカニざんまい!

昆布酒漬けのカニカマでおつまみカニざんまい!

◾お品書き

  • (カニカマの)カニ酢
  • (カニカマの)カニ玉
  • (カニカマの)カニサンド
  • (カニカマの)カニグラタン
  • (カニカマの)焼きガニ
 ※銘柄を明記しているもの以外は、昆布酒漬けにした4種類のカニカマをミックスして使っています。

カニカマおつまみ①(カニカマの)カニ酢

<材料>
・昆布酒漬けカニカマ(半分にカット)
・塩もみキュウリ
・カニ酢
・おろしショウガ
半分にカットした昆布酒漬けカニカマ
<作り方>
① カニカマとキュウリをよさげに盛り付けてカニ酢をかけ、ショウガをあしらう。
 
カニカマとキュウリをよさげに盛り付けてカニ酢をかけ、ショウガをあしらう
お気に入りの「ほぼカニ」を使いました。こ、これは言わなければカニと思い込んでしまうレベルでは!? とひとりコーフン。カニ酢やショウガを添えることで、よりいっそう脳が「おっ、今カニ食べてるんやね?」と思い込むようです。格付けの番組でも採用してみて欲しい。

カニカマおつまみ②(カニカマの)カニ玉

<材料>
・昆布酒漬けカニカマ(粗めにほぐす)
・玉子
・塩
・ネギ
・油
○甘酢餡
・昆布酒漬けに使った酒
・カニ酢(カニカマについていたもの)
・水溶き片栗粉
カニカマを粗めにほぐす
<作り方>
① 先に甘酢餡を作っておく。酒にカニ酢を加えて火にかけ、味をみて薄いようなら醤油や鶏がらスープの素などを加えて調味する。沸騰したら火を止め、水溶き片栗粉を加えてよく混ぜてから再度加熱し、とろみをつける。
② 熱した油でネギを炒め、しんなりとしてきたらカニカマを加えて軽く炒める。塩を加えて混ぜた玉子液を流し入れ、好みの加減に焼き上げる。
③ ②を皿に盛り付け、甘酢餡をかける。
 
(カニカマの)カニ玉
酒の穴の記事本編でスズキナオさんが「残った昆布酒を豚汁に加えたらすごく美味しかった!」と書かれていたのをヒントに、甘酢餡に利用してみました。そしたらこれが大正解。味に深みが出て、付属のカニ酢を加えるだけでお店の味みたいになったんです。

ふわトロに仕上げたカニ玉に甘酢餡がたっぷりと絡み、飲むように食べてしまいました。玉子と同量くらいのカニ(カマ)が入っているのもなんともリッチな気分でしたわ〜。

カニカマおつまみ③(カニカマの)カニサンド

<材料>
・昆布酒漬けカニカマ(ほぐしてから細かめにカット)
・マヨネーズ
・胡椒
・キュウリ(スライスしておく)
・バター(常温に戻しておく)
・サンドイッチ用食パン
ほぐしてカットしたカニカマ
<作り方>
① カニカマをマヨネーズで和え、胡椒をふって混ぜる。
② 食パンにバターを塗り、キュウリを並べて①をのせサンドする。
③ ラップできつめに巻いて30分ほど置き、パンと具をなじませ、食べやすくカットする。
 
(カニカマの)カニサンド
サンドイッチの具にカニを使うなんて、イギリスの貴族でもなかなかしないのでは?(知らんけど) 

でもカニカマなら! こんなに惜しみなくサンドできちゃうんです!

お酒のつまみにするなら胡椒をしっかりめに効かせるのがおすすめ。カニ酢では純和風にしっぽり落ち着いていたカニ&キュウリコンビが、パブの名物料理っぽく変身しましたよー。

カニカマおつまみ④(カニカマの)カニグラタン

<材料>
・昆布酒漬けカニカマ(粗めにほぐす)
・玉ネギ(スライス)
・アスパラガスやブロッコリー(食べやすくカット)
・グラタンの素、牛乳、水
・バター
・チーズ
粗めにほぐした昆布酒漬カニカマ
グラタンの素
<作り方>
① 玉ネギを炒めてグラタンの素、水、牛乳、付属のマカロニを加え表示通りに加熱する。
② 耐熱皿に1を盛り付け、適宜カニカマを混ぜ込む。
③ バター、チーズをのせて表示通りに焼く。
 
(カニカマの)カニグラタン
もっとも簡単に作れる(と私が思っている)マカロニ入りグラタンの素を使いました。もちろん、慣れていらっしゃる方はベシャメルソースから手づくりでぜひ。缶詰のホワイトソースやグラタンソースを使うのも手軽でおすすめです。

鶏肉やシーフードと違ってカニカマは火の通りを心配する必要がないのが気楽でよかったです。
(カニカマの)カニグラタンアップ
旨みがアップした昆布酒漬けカニカマなら、チーズやバター、クリームの中にあっても存在感しっかり!

カニカマおつまみ⑤(カニカマの)焼きガニ

<材料>
・昆布酒漬けカニカマ(そのまま)
・一緒に漬けた昆布
・カニ味噌(缶詰や瓶詰めなど。なくてもいいけどあると最高です)
昆布酒漬けカニカマ(そのまま)
<作り方>
① 昆布酒漬けに使った昆布にカニカマをのせ、焼き網や魚焼きグリルなどで軽く焼く。
② 温めたカニ味噌を添えて食べる。
 
昆布酒漬けに使った昆布にカニカマを焼き網や魚焼きグリルなどで軽く焼く
トリは、「大っきなカニかま」のリアル感を生かしたシンプルな焼きガニ。昆布にのせて焼くことで、カニの殻っぽい香ばしさも加わります。
 
(カニカマの)焼きガニ
蒸し焼きになったカニカマははらりとほぐれ、蒸気とともに海の香りが広がります。濃厚なカニ味噌を絡めたら、はい、もうこれカニーーー! カニでしかないーーー。

殻を剥く必要がないので手も汚れず、みっちりと詰まった身を堪能できました。ただただ、幸せじゃった……。

***

まさかの自宅でカニざんまい。楽しかったー!

正直、これまでは「あ、割引されてるから、カニカマでも食べるかぁ」という扱いだったカニカマが、わざわざ買いに行きたくなるほどの食材に変わりました。昆布酒漬け、おそるべしです。

そうそう、昆布酒漬けに使った昆布の残りは、「昆布卵」にしても楽しめますよ。
塩は敷かずに、食べるときにちらりと醤油をたらすのが合いました。

カニカマおつまみ<おまけ> 
カニカマおつまみ<おまけ>
切り落としたカニサンドの耳は軽く焼いてハイボールのお供にしましたよ〜。

※記事の情報は2021年5月18日時点のものです。
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